2014年09月

「あそこにいるのはチョッちゃんだわ。」最初に見えた塊はチョッちゃんの背中。するとごそごそもぞもぞ動いてるのは彼女の赤ちゃん。とその時 その背中が波打ち始めた。ゲポゲポと小さい音も聞こえる。その音が大きくなった時チョッちゃんの口からどろどろの液体が溢れるのが見えた。背中の波打ちはまだ続き、次から次にどろどろしたものが口から溢れ続ける。その吐き出されたもののあたりには 黒いもの。・・・・・母親が胃から戻してくれる食料を小さな仔犬たちが ぶつかり合って食べているのです。「チョッちゃん、あなたは自分は食べないで 食料を子供たちに運んでいたのね」 母なることの偉大さ。生の営みのなんという荘厳さ。自分のすべてを犠牲にして仔犬に与える。だけど死んではならない。自分が死んだら誰も仔犬を育ててくれないから 仔犬の為ギリギリに生きながら全てを与える。でもチョッちゃんの凄さはそれだけではなかったのです。次は私が思い出すシーン3です。


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チヨッちゃんが20メートルほど行ったところで清さんは尾行を始めた。人間には歩けない道にはいったが、どのあたりに出るかはわかる。 忍び足で先行してるはずのチヨッちゃんの姿をとらえようと柵に手をかけると 「ウーウーウー」と低い唸り声を出し、これから先尾行することはダメと見たことのない強硬な態度を見せたのである。
その後もチヨッちゃんは夕食にくる毎日が続いた。夕食だけでなく朝晩2回来る日が増えた。チョッちゃんが姿を現して3週間ほどしたある日、チヨッちゃんはいつものように大量の餌を腹に詰め込んだあと歩き出した。しかしこれまでと違ったのは、まっすぐ家に帰らず10メートルほど行って立ち止まり文恵さんのほうを見てるのである。文恵さんがチヨッちゃんに近寄るとまた歩き出し 10メートルほど行っては立ち止り文恵さんのほうを見てる。「この子は自分についてきてと言ってる」チヨッちゃんは人間が歩けない所を避け、表通りから文恵さんを誘導してるのである。
私が思い出すシーン1です。そして崩れかかった廃屋にたどり着く。中は真っ暗。眼が暗がりに慣れてくると何かが見えた。そこでみた光景。次回は私が思い出すシーン2。。


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外猫達がえさを食べ終わり文恵さんが片付けようとした際、1匹の犬がじっとこちらを見ている。「あなたこれほしいの?」まだじっと見ている。「じゃあげるわよ。こっちに来て食べなさい」「怖くないのよ。ここに置くからね」犬はしばらく様子を見るように餌と文恵さんの顔を見比べていた。と突然に小走りに餌の皿に近づき皿に首をつっこんだ。ガブガブガブと恐ろしい勢いで噛まずに呑み込む。まだおなかが空いてると思い、餌を山盛りいれると
これまた丸呑みしてしまった。「もういいでしょ。明日またいらっしゃい」文恵さんが皿を取り上げるとチヨッチヨッと走り始め見えなくなった。(この走り方から この犬はチヨッちゃんと名づけられる) 
毛がほとんど抜けた裸犬で色はグレーで赤味がかり、顔は細く耳は大きくたれており、シッポは細く貧弱で背中のほうに巻いてる、黒く大きな眼がギョロギョロと光る柴犬くらいの大きさのその犬は その後も同じようにやってきて 毎日1キロほどの食料を丸呑みしてはどこかへ消えていくのである。食べる量と速さはもの凄く、食べ終わると異常にふくれたお腹をして帰っていく。でも次にくるときはガリガリに痩せた体にペッチャンコのお腹をしてくるのである。これだけ食べても少しも太らない。で 文恵さんの話を聞いた旦那さんの清さんががある日尾行を始めるのである。

犬ごはん




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